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第70話 北へ

last update آخر تحديث: 2025-05-06 20:00:46

 パルティア王国の地図は、街道の北の森はざっくりとしか記されていない。

 北の森はダンジョンや魔物が多くて、一般人が住むには向かないのだ。

 実際、俺の店から北に向かって村などは一切ない。

 開拓村などが点在しているのはもっと南のほうである。

 北は森の先に平原があり、さらにその先に山脈があるのは地図に出ているが、距離などはいい加減だった。

 国境線の記入も、南や東と比べれば極めてあいまいだ。

 平原を少し進むと東から西に向かって川が流れている。

 その手前で、イザクは手に持ったクワを地面に突き立てた。

「どうだ?」

 俺が聞けば彼はうなずいた。

「悪くない。今の季節で地面は凍っていないし、残雪も多くはない。地味も肥沃、これなら畑が耕せるだろう」

「そっか」

「川があるのもいい。水が手に入る」

 逆に水害の恐れはあるが、氾濫の可能性なんかは今は分からないしな。

「もう何日か、この辺りを調査して回ろう」

「承知した」

 川を越えてさらに北に行ってみたかったが、あいにく橋は見当たらない。

 泳いで渡るには川幅は広く、水は冷たかった。

 森から木を切り出してイカダでも作れば渡れるだろうが、まあ今回は無理しなくてもいいだろう。

 とりあえず上流に向かってみて、橋を見つけたり渡れそうな場所があったらラッキーということで。

 それから三日かけて川の上流に向かった。

 橋は見つけられず、川を渡るのは難しそうだ。

 そして四日目、そろそろ戻ろうかと思っていたときにそれは起こったのだった。

 四日目の午後、俺たちが来た道を引き返し始めたときのことである。

 川の上流のさらに向こう側に土煙が立った。

 何事かと足を止める。

 土煙は徐々に近づいてきて、それが馬とトナカイの一団であると分かった。

 馬とトナカイは荷車を引いていて

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